いなせな江戸弁が知りたい方へ。
「べらんめえ口調」とも呼ばれる江戸弁。江戸弁とは、かつて江戸の町で使われていた方言のことです。主に職人達の間で育まれてきた言葉なので、その語調は雄雄しくて豪胆。少しぶっきら棒だけど、人情に溢れていてストレートに心に響く、そんな方言なのです。
いつの時代も、女性は男性の大胆で男らしい行動に弱いもの。今回は、デート中に使ったら女性が思わずキュンとくるカッコいい江戸っ子の言葉、江戸弁をご紹介します!
いなせな江戸弁①『とーんとくる』
人は恋に落ちた時、何らかの音を聞くと言います。例えば、この記事のタイトルにある「キュン」もその一つですし、一昔前に流行した「ビビビ」なども定番ですね。海外ではベルが「リンゴーン」と鳴るそうです。私たちはこれらの音を「恋に落ちた時の音」として使っています。
一方、江戸の町の人々はあの瞬間を「とーん」という音に例えていたのです。女性の可愛らしい仕草・男性の意外な一面を垣間見たとき、心の中に何かが落ちて「とーん」と音が鳴り響く。そんな素敵な体験をしたときは、相手にこの言葉を伝えてみてください。
ストレートに「可愛い」「カッコいい」と言うよりも趣がありますし、相手の心にもとーんとくること間違いなしです!
いなせな江戸弁②『肴を荒らさねえ』
酒の席で「オレは肴荒らさねえよ。塩だけで一升やれらあ」という様に使います。豪快ですね。お酒のつまみのことを肴と言いますが、その「肴を荒らさない」=「つまみに手をつけない」ということです。
このような男性は、女性の目からはとても男らしく映ります。そのため、特にお酒が飲める女性からは「さすが!」と尊敬されるかもしれません。しかし、お店の人からは「お金にならない客だな」と評価されるので、肴はきちんと注文しましょう!
いなせな江戸弁③『手銭』
この言葉は現代でも使われているので、しばしば耳にしているかもしれません。自分のお金、身銭という意味の言葉です。「手銭で一杯やりてえなあ」という様に使われます。
近年、男性がデート中の食事を奢るか・奢らないかという問題がよく取り沙汰されています。デート中に奢ってあげたいけどお金がない。そのような男性は、冗談めかして「ここは手銭で!」と彼女に伝えてみましょう。「ここは自腹で払ってね」と言うより角が立たずに済むはずです。
ちなみに、「割り勘」を江戸弁に直すと「切合(きりあい)」となります。
いなせな江戸弁④『黒っぽい』
プロの仕事をしてくれた人に対して「兄さん、黒っぽいじゃねえか」という様に使います。「黒」とは「黒人(くろひと)」、現代で言う「玄人(くろうと)」のことです。
また、かつて黒人の対義語だった「白人(しろひと)」が現代の「素人(しろうと)」になったと言われています。
いなせな江戸弁⑤『おっこちきる』
①で紹介した「とーんとくる」は、恋に落ちる瞬間を表した言葉でした。その段階からさらに進んだ状態が、こちらの「おっこちきる」となります。
「おっこち」とは、惚れてしまって参っている様子のこと。その状態が極限に達した時、まさに「おっこちきる」のです。英語でも恋に落ちることを「fall in love」と言いますが、恋愛感情に対する感覚というものは時代や国を超えて共通なのかもしれません。
いなせな江戸弁⑥『成る口』
「兄さん成る口だねえ」という様に使われます。お酒が飲める女性はその事を武器にしている反面、男性から「強いね」「飲めるね」と言われることを気にしているものです。その様な女性に出会った時は、この言葉を使って威勢よく褒めてみましょう。
仮に女性が「成る口」という単語を知らなかったとしても、大体の意味はニュアンスで伝わります。いつもと違う褒められ方に、女性が関心を持ってくれるでしょう。ただし、あなた自身も成る口でなければ格好がつかないので注意してください・・・。
いなせな江戸弁⑦『あたぼうよ』
江戸弁の代表格とも言える言葉ですね。実は「あたぼうよ」は二つの単語を圧縮させたもので、元々は「あたりまえよ、べらぼうめ」という言葉でした。「べらぼう」とは「アホ」「バカ」という意味です。つまり、「あたぼうよ」は「当たり前だよ、バカ野郎」ということです。乱暴な言い回しなので、使いどころを誤ると相手にケンカを売ってしまう危険性があります。
しかし、「あたぼうよ!お前が困ってるのに見過ごすわけねえだろ?俺に全部任せとけって!」という様にプラスの意味として使うことで、逞しく頼り甲斐のある一面を強調させることが出来ます。
いなせな江戸弁⑧『てやんでい』
江戸弁の代表的な啖呵(たんか)ですね。「何言ってやんでい」から来ていると言われています。よく耳にするのは「てやんでい!あたぼうよ」という使われ方です。この台詞が自然に出てくるような人は、生粋の江戸っ子という感じがしますね。
いなせな江戸弁⑨『間尺に合わねえ』
「間尺」は「マシャク」と読みますが、江戸っ子は「マショク」と発音します。間尺とは、家の寸法を表すときに用いられる単位である「間」と「尺」のことです。その間尺が合わない・おかしい=割に合わない、という意味になります。
あまりポジティブな言葉ではありませんが、だからこそ威勢よく言い放ちましょう。割に合わない状況にブツブツと文句を垂れている男性よりも、ずっと魅力的に見えます。また、その方が自分自身の気持ちもすっきりするのではないでしょうか。
いなせな江戸弁⑩江戸弁訛りの特徴
Photo by Nemo’s great uncle
江戸弁も方言の一種ですので独特の訛りがいくつか存在します。
「シ」と「ヒ」が逆転
まず、「シ」と「ヒ」が逆転してしまう現象。
例えば、「東」は「シガシ」となりますし、「質屋」は「ヒチヤ」となります。
「アイ」や「エイ」が連結
次に、「アイ」や「エイ」に準ずる発音が連結してしまう現象。
例えば、「〜ない」は「〜ねえ」となり、「大根」は「デーコン」と発音されます。
最後に
ちゃきちゃきの江戸っ子と言えば、向こう見ずで喧嘩っ早く、細かいことにこだわらない。それでいて、人情に溢れていて涙もろくて正義に熱い。そのようなイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。
現代社会ですぐに殴り合いの喧嘩を始める人は問題外ですが、江戸っ子気質の男性は女性の目から見ても魅力的に映るものです。今回はカッコいい江戸弁を中心に紹介しましたが、最も大切なのはハートの熱さです。いつの世も、女性は熱い男にとーんときてしまうものなのです。細かい訛りはまだまだありますが、ここに書かれている特徴を掴むだけも現代江戸っ子として十分です。
いなせな江戸弁★キュンとくる方言のセリフ10選
1. 『とーんとくる』「惚れた」
2. 『肴荒さねえ』「つまみはいらない」
3. 『手銭』「自腹」
4. 『黒っぽい』「プロらしい」
5. 『おっこちきる』「ぞっこん惚れる」
6. 『成る口』「酒が飲める口」
7. 『あたぼうよ』「あたりめえだ、べらぼうめえ」
8. 『てやんでい』「何を言ってやがるんだ」
9. 『間尺に合わねえ』「割に合わない」
10. 最後に江戸弁訛りの特徴について
以上、最後までご覧いただき有難うございます。